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2020.09.16 Wednesday

2020夏休み・常念岳と大天井岳3

ダウンの寝袋の中でふと目が覚めた。

寒い。3シーズンの寝袋では、少し薄かったか。

しかしテントの中が妙に明るい。

朝?

比呂志を起こさないよう、ベンチレーション(空気穴)から外をそっと覗く。

 

目の前にさんさんと輝く月があった。

 

たまらず外に出る。

無数の星。

そして目の前に黒々と立ち上がる槍ヶ岳の山並み。

1人息をのんだ。

 

山はここにいる。

いつでも、どんな時も。

明日はきっといい天気だ。

 

 

9月9日水曜日
4:00起床。外へ出る。
最高の夜空と、ほんの少し白む東の空。

他のテントにも灯りが灯っている。
もそもそと起き出した比呂志も、おおーと声をあげている。

 

20200916_3045143.jpg
キラキラと輝く安曇野の夜景の先に、太陽の光がその片鱗を少しずつ空に放出し始めていた。
振り向くと、大天井岳の稜線が紫色の空をカッキリと切り取っている。
山頂へ行ったら最高だろうな!

しかし、今日は少しでも早く出発したい。

今日の行程↓


我慢して出発の準備をする。
昨日何度も頭のなかでシミュレーションしたテント撤収は、思いの外スムーズに進んだ。

(畳み方がひどいとも言う)

山並みに朝日が少しずつあたりはじめ、景色が静かに起き出していた。

20200916_3045145.jpg
は強いが昨日ほどではない。
最高である。

6:25 大天荘出発。
20200916_3045172.jpg
二日間全然姿を現さなかった槍ヶ岳が、ずっと右にいる。
浮かれて何度も写真を撮ってしまう。

20200916_3045151.jpg
下を見てないとコケるので、気を付けなくては。
最高である。

東大天井岳を越えるころ、一旦槍ヶ岳とはお別れ。
改めて見ると、上から雲が手を広げるように広がりはじめていた。

20200916_3045157.jpg

昨日とは別物の景色のなか、常念小屋へついた。

20200916_3045149.jpg

8:55 常念小屋前にて休憩。

見ると外の簡易トイレを汲み取り&掃除するスタッフがいる。
本当に大変な仕事だ。
登山道の管理まで請け負うこの仕事、民間に任せるべきものなのか。いつも思う。

 

快晴の少し風が強い(となりのお父さん、袋を飛ばされて猛ダッシュしていた)小屋前のベンチで、最後の大休憩。

お湯を入れるだけの簡易パスタと大福もちを食べた。

出発の時。

振り返ると、槍ヶ岳にはもう雲がかかっていた。

さようなら。

姿を見せてくれてありがとう。

 

ここからは我慢の時間である。

 

下山は集中力との勝負だ。

ずーっと下を向いて歩く。

気を抜いて話したりなんかしてると、道を間違えたり足がクニャっといったりする。

二人無言でもくもくと歩く。

 

もくもく・・・

足痛くなってきたあ・・・

もくもく・・・

登りは全然平気なのにな・・・

 

長い。

 

下り、長い!!!

 

最初の大滝ベンチ(第1回参照)までと、そこからがとにかく長く感じた。

やる気を失った比呂志のペースダウンが半端ない(おい!)。

何人かの先輩に追い抜かれたが、あの人たちはなぜあんまにヒョイヒョイと下れるのでしょう?

その歩き方を形態模写したりしながら、どうにか乗り切った。

ダンサー魂。

 

13:30 一の沢登山口到着。

20200916_3045159.jpg

とりあえずトイレいって一休み。

ここから駐車場まで、また20分近く歩くのかあ・・・

と、げんなりしている榊の前方、行く先の舗装道路のかなり先に、黒い物体が見えた。

 

ク マ だ 

 

指先くらいのサイズに見えるから、かなり遠くにはいるけれど、あれは確実にクマだ!

こっちを見ている・・・。

(榊の視力2.0)

 

困った・・・あっちに歩いて行かなくちゃいけない。

苦し紛れにクマ鈴をチリンチリンと鳴らす。

彼はこちらを何度も振り返りながら、ゆっくり左の斜面へ入っていった・・・。

 

さて、である。

彼が消えていったそのすぐ横を、通らねばならない。

待たれてたらどうしよう!

・・・どうしようもないけど。

死ぬほど緊張しながら舗装路を歩く。

20分なんてあっという間だった。

(ちなみに、比呂志は目が悪いので、まったく、まっっったく見えなかったそう。逆にうらやま)

改めて、ここは私たちの場所ではないと思い知る。

 

無事に駐車場についたら、さっさと退散。

松本市のお風呂にお邪魔して、帰路についたのだった。

 

 

 

山はいつでもいてくれる。

だけど、私たちの時間は無限じゃない。

体力やお金の有無のみならず、人生のステージはどんどん切り替わっていく。

こんな時期ではあったけれど、やっぱり行ってよかった。

大事なことも、余計なことも、すべて大切に生きていきたいと思う。

(それを支えてくださっている様々な方々に感謝して)

 

夜中に見た、静寂のなかにたたずむあの黒い山並みを、私は一生忘れない。

 

 

おわり。

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